ロックは夢追いの音楽ではないかと思う。
いくら歌っても、恋愛の焦燥感も社会への反抗も決して現実的には成就されない。
でも、音楽が鳴っているだけはマジックがかかっている。
僕らがロックに耳を傾ける時、その中だけは全ては自由だ。
思い切り飛ぶことも暴れることも感傷に浸ることも許される。
そして、現実は変わらないのだからと割り切るのでなく、
自分の音楽と自分の生き方を等しくしようとする人が、たまにいる。
彼を思い浮かべると優しさだけが残っている。
「愛し合ってるかい?」
なんと素晴らしき決めゼリフかと聞くたびに思ってきた。
僕らはやっぱり現実には愛し合えていないのだ。
だからこそ彼の夢のような言葉は刺さる。
笑いかけ、愛を鼓舞し、怒りを隠さずアティチュードを表明する。
金儲けは大切だけど、金に魂は売らない。そして死ぬまでロックという夢想を追いかけ続けた。
筑紫さんに引き続き、この国の良心が失われたように思う。
彼のような、深みと無邪気さを併せ持ったミュージシャンは日本にはもう現れないだろう。
(き真面目でしかめっ面のダサいミュージシャンはたくさんいるけど、
彼は、フランクでかっこよくて、
そして可愛かった、チャーミングだった。。。)
タイマーズのときも『君が代』のときも、
「やっぱりヤツはやってくれる。わかってる」
という気持ちになった。
これから山のように出るであろう、
追悼特集を読むことはないと思う。
目を閉じると『スローバラード』が流れだして、
涙がとまらない。
忌野清志郎さん、ありがとうございました。
どんな教科書より、教師の言葉より
あなたの歌と言葉は僕の人生の標となりました。
向こうでジョンやオーティスとよろしく演って下さい!