人は見た目で判断してしまうから。小さい誤解を解いていくこと。

ちょっと先日、Twitterでのやり取りがあって、
このエントリーを書こうと思ったのだけど……
もういまさらこの曲の意味を誤解してる人がいるのかって愕然としちゃって。

ブルース・スプリングスティーン1984年の大ヒット曲
「Born in the U.S.A.」をアメリカの国旗高揚ソングだと思っている人がいて、
バカにしてたんですよ。
おそらくサビしか聴いてないからだろうと思うんだけど。
(ま、メロディ1つしかなくて繰り返しだからなおさらそう聴かれる)
ちなみに僕はそこまで熱狂的な「ボスファン」というわけでもないです。
普通にヒット曲を知っていて、何枚かアルバムを聴いてるという感じ。

要するに何で書こうかと思ったかっていうのは、
表現っていうのは、
アイロニーとかパロディって要素が時にあるってことがまだまだ一般的には伝わらないんですよ。

バース(Aメロ)から聴けば、意味は真逆な祖国にに対する悲しみと怒りに満ちた内容だとわかる。

こんな悲惨な内容。


死んだような生気のない町に生まれ
歩き始めるとすぐに蹴とばさた
結局、叩きのめされた犬のようになって
人生の半分を人目を盗んで生きるようになる

俺はアメリカで生まれた

この町で小さな問題を起こした俺の手に
彼らはライフルを握らせ
外国へ送り込んだ
黄色人種”を殺すために

俺はアメリカで生まれた

帰郷し、製油所へ行った
雇用係が言った
「私の一存ではどうにも」
退役軍人管理局へ行く
そこの男が言った
「まだ分からんのか」

兄貴はベトコンと戦った
彼らは生きているが、兄貴はもういない
兄貴の彼女がサイゴンにいて
彼女の腕に抱かれている兄貴の写真だけが残った

刑務所のすぐとなり
製油所の燃え盛るガスの火の近く
この10年間、煮えくり返るような思いで生きてきた
全くのどんづまり
俺はもうどこへ行くこともできない

俺はアメリカで生まれた。


スプリングスティーンは、こういうストーリーテリングが非常にうまくて、
歌の主人公は必ず名も無い市井の人間で、その思いを代弁するようにイメージして
ソングライティングする。「ストリート・オブ・フィラデルフィア」もそうだし、
「明日なき暴走」だってそう。

で、話は戻るけど、
人の印象や記憶というのは全くあてにならないということを常々痛感します。

人は見た目が9割』という本も出たけど、
内容なんて、ほとんどの人か知ることもないし、知ろうともしない。
すぐに、外側の華やかさにコロッと騙されちゃうわけですよ。

でも、まあ、それが悔しい現実でもある。

だからこそ、
伝えるべきもの、届けるべきものを本当に持っている人って、誤解されてしまってはもったいないし、
伝わる術を持つべきだし、
それが無理なら、代わりに伝えてくれる人を見つけるべきだと、
常日頃の自分の仕事と照らし合わせても強烈に思う。

で、記事や文章を書く人は、
一つ一つ丁寧に伝えなきゃいけないと思うんですよ。
小さい誤解を解くためであっても、小さい真実のために。
それで知ることができる読者ってのも確実にいるわけだし。

何かを煽ることで自分の名を上げるとか、
自分の利益を確保するってことじゃなしにね。

そういうことの積み重ねが人に何かを伝えることなのかなって。
ジャーナリストの痛ましい死もあり、いろいろ考えるわけです。