98年、あの頃作っていた曲

僕は20代はずっと音楽を作っていました。
未だにツイッターのプロフィールに「元ミュージシャン」と入れているのは、
いつかまた音楽を再開したいと密やかに思っているからです(笑)。


で、最近「音楽やってたとは言うけれど、曲聴いたことがないよ」と、
諸先輩方に言われることがあったので、かなり恥ずかしいですが(苦笑)、
当時作ってた曲のほんの1曲ですが、Youtubeに上げてみました。


10代から20代まで、随分と色んなタイプの曲を作ったり、色んなバンドをやったりしてたんですが、
この曲を作った98、99年当時は、いわゆる「ローファイ」と呼ばれるようなジャンルだったり、
ビースティーボーイズのようなロックのダイナミズムとヒップホップのサンプリングをコラージュするような
音楽が大好きでした。その影響でトラックは作ったんですね。まあ、もろ「ルーザー」なんです(苦笑)。


この曲だけのイメージがついちゃうのは嫌なんですが、
アコースティックなバラードだったり、もろロックっぽかったり、
ピアノだけとか、アンビエントっぽいもの、パンク、ノイズみたいなもの、
とにかくありとあらゆる音楽を吸収して、曲を吐き出してました。
クラブでDJもよくやっていました。



今聴くと音源のクオリティの低さに唖然としますが、
当時は宅録としてはこれでも結構がんばってやってたんです。

ローランドの16トラックのHDレコーダーを買って、それにアカイのサンプラーやキーボードで曲の作って、ギターやベース、ボーカルを乗せてました。あーなつい。


歌詞のテーマはタイトル通り、フリーターですね。当時はまだ新しい言葉だったし、
インパクトがあったし。歌詞はある種の酩酊状態というか、精神錯乱を歌っていて(苦笑)、かなりヤバイ内容ですが、おそらく、行き場のないフリーターの悲哀みたいなものを表現したかったんだと思います。一晩で書いた覚えがあります。


この頃の音源は下北にあった「ハイラインレコード」というインディーズを取り扱うお店に置いてもらったりしていたのですが、もう今はこのお店も潰れてしまいました。僕の手元には1枚もCDが残っていません。


当時はソロ名義で「凱旋門パリ彦」という変わったアーティスト名で活動してました(笑)。
バンドも解散しちゃったし、レコード会社の人から「ルックスに華がない」なんてボロクソに言われていたので、ソロのアーティスト名は、半分やけくそなんだけど、絶対忘れらんない名前にしようと。由来については話すと長くなるので割愛します(笑)。

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で、デモテープを作ってはレコード会社のディレクターさんのとこに持っていくんですが、なっかなかデビューさせてもらえない。そうこうするうちに29歳の手前までなってしまいました。


大学卒業してからミュージシャンになるつもりで就職せず、某マスコミでアルバイトを4年以上やっていたのですが、「もうさすがに一回社会に出て、イニシエーションを受けないと、男としてアカンな」
そんなことを思っていました。


そこで、どうせ仕事は大変で辛いものだから、ちょっとでも自分が好きな事を選びたいな、と、まあ若い甘い考えですが(苦笑)、音楽の次に好きだったのが、本と映画でした。

実は映画のサントラも僕は作ったりしています。
「こたつむり」というインディーズの映画ですが、確かカンヌで新人賞をとった河瀬監督のスタッフが撮られた自主映画だったかと思います。この映画のおかげで、僕はキネ旬などの映画データベースに名前が載っているんです(笑)。


さて、映画は好きだったけれど、食っていくには、音楽以上にハードルが高いように見えました。周りには映像や映画を撮ってる友達がいましたが、誰一人、それだけで食えている人間がいなかった(笑)。


それで、昔からとにかく雑誌や小説が好きだったので、いつか自分でも本や雑誌を作れたらいいな、と思って、29歳の時に、アルバイトから業界に入りました。


どんな仕事も10年は殺らないと身につかないと思って、音楽は一旦封印。


音楽雑誌の面接を受けようかとも思いましたが、一度辞めた音楽に再び向き会うのがヤで(他人のライブがあまり好きでなくなったのもこの後遺症がまだあるため笑)、全く関係ない編集部に入ったのが、今の仕事のスタートです。


だから、40歳でまた音楽を再開できたらいいなと思っています。今は当時とは比べ物にならないくらい、マック1台でなんでもできちゃうので、管や弦を入れたり、色々なアレンジの曲を作ってみたい。それでいつかライブもやれたらな、なんて思っています。そのためにも今のやるべきことをやらないといかんですね。