THIS IS IT!!


マイケル・ジャクソンの“ファイナル・カーテンコール”となるはずだった、
THIS IS IT」の初日を新宿バルト9で観てきました。


ワイドショーで少しだけリハーサル風景が流れたものの、事前情報がほとんどなかったこの映画。
一体どう始まるのかと、わくわくどきどきしながら、
開幕を待ちましたが、、、
(以下、ネタばれ含むのでこれから観る人は読まないでくださいね☆)




映画は世界中からこのツアーのオーディションに勝ち抜き、採用されたダンサーたちの様子から始まる。
みな涙を流しながら、いかにダンサーとしてマイケルに影響を受けたり、
憧れきたかが語られるのだが、最後の白人の男の子のコメントが出色である。


「人生は辛いだろ? だから、自分が何者かであることを証明するものがほしかった。"This is it! " このツアーがそれなんだよ!」


過去のヒット曲中心に映像とダンスを織り交ぜ、怒涛のリハが続く。しかし、最も驚かされるのはダンスや曲の演出ではなく、マイケルの姿勢だ。

ダンスのタイミングはもちろん、
フレーズの一音でさえ、ニュアンスやテンポに対し即座に注文を出すMJ。


「でも、これは怒っているんじゃないんだよ、愛なんだよ」


これだけの世界アーティストであるにもかかわらず、なんという気遣い!


実はこのライブに向け、マイケルは長年離れてしまっていた舞台プロデューサーなどの往年のスタッフを再集結していたという。
つまり、このライブで彼は本気で復活し、かつ今までの誰もやっていないコンサートをやろうとしていたのだ。


そして、この映画の見所の1つは、
あの歌声をレコーディングされ、商品化された音源でなく聴くことができる点。
圧倒的な美声。
マイケルのすごいところは、速い曲も遅い曲も、
悲しいメロディも、怒りを爆発させるシャウトも
どれをとっても上手いところ。


さらに、あのダンス。リハだから当然抑え気味なのだが、
50歳にして切れのある動き。なんという才能だろう。
この人類の至宝を我々は失ってしまったのだ。
映画を見ながら、その事実を改めて確認すると泣ける。


それぞれの曲に関して。
「スリラー」の新クリップを作っていたというのはゴシップニュースに出ていたが、驚いたのが、あの「スムーズクリミナル」の新バージョンを用意していたことだ。
ムーンウォーカー」というマイケル主演でしかありえないトンデモ映画でもあるこの映画の1シーンは、「スリラー」に次ぐマイケル史上最高のPVの1つであるとファンからは支持されてきた。
古いギャング映画を思わせる設定、あの立ったまま斜め45度倒れて戻ってくる有名なパフォーマンスも披露される有名なビデオなのだが、
その2009年バージョンが新たに撮影されていた。
個人的には、マイケルソングで最も好きなアップテンポの曲だったから、
CGが駆使された同曲のステージには狂喜乱舞した。


そして、いよいよすべてのリハが終了した日、
円陣を組んでスタッフに声をかけるマイケル。


「このコンサートで人々にメッセージを伝えるんだ。愛が大切だってこと。
そして、あと3年で環境破壊を終わらせるためのメッセージをみなで伝えよう」
(世界平和や環境といった子供みたいなことがマイケルはすぐ口にするw)


世界中からゴシップのネタにされ、嘲笑の対象にさせられたことに長年耐え偲びながら、こんなにも真摯で謙虚で、1人の人間としてちゃんと仕事をしていたこと、
そして、彼がこのファイナルカーテンに本当に気合を入れて取り組もうとしていたこと。
その想像を絶する努力が、水の泡になってしまった! なんということだ・・・。


MJの功績は後世になればなるほど分かるのかもしれない。
彼が人種の壁を破って黒人の地位を上げたことは間違いない。
言いすぎかもしれながいが、もしかしたら、マイケルがいなかったらオバマ政権だって成立していなかったかもしれない。


歌声やダンスを見ると自然と心が湧き上がり、目の前にいるかのようなマイケルのライブに対する愛が伝わってくる今作。
2週間ならずとも公開期間を広げてもらって、
なるべく多くの人に観てほしいなと思った。
(その後、異例の延長が発表された)


そして、改めて感じたのは、

音楽はすばらしい。まったくもってサイコーだ!


彼の現役時代を知らない世代が多く映画館には訪れているという。

先月のビヨンセのライブを観て、最強かも、
と思った矢先。
マイケルの、彼自身の人生の歴史、悲しみ、情熱がこもった表現の深さは誰にも到達できない。