文学座「かぐや姫」→麻布十番「キリンの会」

文学座所属の演出家、高橋正徳(ノリ)からお誘いを受け、
日比谷の日生劇場へ。


ノリとは、僕が99年に主催した
今はなき恵比寿の「みるく」でのイベント、
「セクハラinバスタブ」で、一緒にバカをやった仲。


フルクサスみたいなことがしたい!」
という僕の妄想から全てはスタートし、
DJ、VJはもちろん、
ステージでは、バンド演奏、演劇、映画の上映、
地下では写真、イラスト、服飾の展示までやった、かなり大掛かりのイベントで、
準備に半年もかかった。


僕は、某テレビ局の衣装部からプレスリーの金ピカのステージスーツを借り、
この日のために作ったバンドでギターボーカルとしても出演した。
ディジリドゥをサンプリングしたダンスナンバーを書いたり、
シーケンサーと生バンドを同期させるという、
当時としてはわりと先端なことをやったバンドだったが、
この時の一回のライブで解散してしまった。


ノリは当時「まちパン」という劇団を主宰していて、
「世紀末にハルマゲドンが襲来し、それをアントニオ猪木が阻止する」
というストーリーの無茶な舞台を演出し、イベントのトリを務めた。
まちパンの集客力もあり、みるくは超満員だった。

あれから10年。
まさかファミリー向けの「かぐや姫」を演出するようになるとは!
もちろん、彼は他にも様々な舞台の演出を手がけているのだけど、
アバンギャルドな芝居ではなく、
こういうプロフェッショナルな仕事をちゃんとやっているところが素晴らしい。
いつかトークに招いていろいろ訊いてみたいと、
終演後にノリと話す。

日比谷に突然出来た、このわけのわからない憩いの場で一息。



打ち合わせを1本やった後、
麻布十番へ。


先月個展を盛況のうちに終えた友人の写真家、有高唯之の主宰の飲み会に参加。

Think the Earthプロジェクトのプロデューサー上田壮一さん、
WEBやゲームを多数手がける山田秀人さん、
ソニー出井伸之さんの会社「クオンタムリープ」の北川竜也さん、
編集・ライターの加藤ジャンプさん、TS近藤ら、
ジャンルの異なる多士済々の面子で、男のみという会合。


話題は、地域活性や皆既日食、砂漠の緑化など多岐にわたったが、
最後はなぜだか、人間のオスの遺伝子の危機問題について。


ここ数年の人間の精子は、数うんぬんどころか、
チンパンジーのそれと比べると、
明らかに動きが落ちてしまって、顕微鏡で見ると、まるで昼寝をしてしまっているかのようらしい。
そう遠くない将来、草食どころか、男性原理自体が無くなってしまって、
女性のみになる可能性もそう遠くないという。
(どうやら携帯の電磁場による悪影響もかなり大きいらしく、
「ズボンのポケットに携帯を入れるのはよしといたほうがいい」という結論に!)

そして、自分たちが特段草食とは思わないけれど、
どうやらこの日集まったメンバーも、
前の世代よりは確実に“草食度”は増しているだろうと。


しかし、草食動物であっても、
例えばキリンはガンガン雄同士でケンカもするし、実はかなり肉食系なんじゃないか、
という話がジャンプさんから出る。


われわれもそうありたい、というわけではないのだけど、
なぜかこの会は「キリンの会」と名づけられる(笑)。
草食に見えても、ガンガン行く時は行くよ、ということか。



よしもとばななさんのブログにもあったけれど、
http://www.yoshimotobanana.com/diary/2009/02/index_2.html


大きなことを漠然と考えてしまいがちの中、
こういった自分の周りの自然な縁から何か始まる予感が最近あるし、
それをちゃんと引き寄せ、つなげていきたいと切に思う。



NHK教育で、佐野元春さんの講義のようなトーク番組が放送されている。
会場は佐野さんの母校・立教大学。学生も入れているので、
ジェームズ・リプトンの「アクターズ・スタジオ・インタビュー」みたいだ。


タイトルは「ザ・ソングライターズ」。
佐野さんらしい、言葉の力に迫ったインタビュー番組。

http://www.nhk.or.jp/songs/song-w/


この日、松本隆さんの回を初めて観る。
はっぴいえんど時代、どうやって日本語をロックに乗せていったか。
はっぴいえんどは、練習よりも会議ばかりやっていたそうだ。
ミーティングバンド(笑)。
なんとも、はっぴいえんどらしい。
当時メンバーの年齢は20前後だから、やっぱり破格のバンドだったのだ。


日本語のロックなんてなかった時代、
松本さん以外は、実は英語でやりたかった、というのも面白い発言だった。
松本さんは、そんな中、
無理という前提ではなく、
玉砕してもいいからチャレンジすることを選ぼうと
会議で言っていたのだと言う。
根っからのロッカーなんだなと思う。


そして、いつの時代も偉ぶるわけでもなく、
自分の好奇心と行動力で新しい地平を切り拓く佐野さんは本当に素晴らしい。
そして何といっても、
あんなに紳士で優しい眼差しを持った人もいない。


あらためて思ったのは、
やっぱりトークっていいなということ。
対話が醸しだすアトモスフィア、言葉のやりとり、受け答えのタイミング。


あの佐野さんが質問表を片手にインタビューする佇まいが軽やかで楽しそうで、
観ているこちらもワクワクしてくる。
あんなトークショーをいつか自分もできたら。


次回は、松本さんが松田聖子と組んだ作詞家としての黄金時代の話をするというから、
これも見逃せない!